ゴミ屋敷の所有者や居住者が、行政からの退去命令に従わない場合、どのような事態になるのでしょうか。ここでは、退去命令を無視した場合のリスクと、強制執行について解説します。まず、退去命令は、行政による最終的な措置であり、これに従わない場合は、法的な強制力をもって問題解決が図られます。具体的には、「行政代執行」という手続きが取られる可能性があります。行政代執行とは、行政上の義務を履行しない者に対し、行政庁が自ら、または第三者にその義務を履行させ、その費用を義務者から徴収する制度です（行政代執行法）。ゴミ屋敷の場合、行政代執行によって、強制的にゴミが撤去され、場合によっては建物が解体されることになります。行政代執行にかかった費用は、ゴミ屋敷の所有者や居住者に請求されます。この費用は、ゴミの量や種類、建物の状況などによって大きく異なりますが、数百万円から数千万円になることもあります。また、行政代執行が行われる際には、強制的に退去させられることになります。抵抗した場合は、公務執行妨害として逮捕される可能性もあります。さらに、退去命令に従わないことで、刑事罰が科せられる可能性もあります。例えば、空家対策特別措置法に基づく命令に従わない場合は、50万円以下の過料が科せられます。また、廃棄物処理法に基づく命令に従わない場合は、懲役刑や罰金刑が科せられることもあります。退去命令を無視することは、経済的にも、社会的にも、そして法的にも、非常に大きなリスクを伴います。退去命令が出された場合は、速やかに専門家（弁護士、司法書士など）に相談し、適切な対応を取ることが重要です。