ゴミ屋敷を相続放棄した場合でも、注意しなければならないのが「管理義務」の問題です。相続放棄をすると、相続人としての権利は全て放棄することになりますが、ゴミ屋敷の所有権が直ちに消滅するわけではありません。そのため、次の所有者が決まるまでの間、または相続人が誰もいなくなる場合、相続放棄をした人がゴミ屋敷を管理しなければならないことがあるのです。民法940条1項には、「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」と定められています。つまり、相続放棄をした人は、次の相続人が管理を始めるまで、ゴミ屋敷を適切に管理する義務があるということです。この管理義務を怠り、例えばゴミ屋敷が倒壊して他人に損害を与えたり、火災が発生して近隣に延焼したりした場合、損害賠償責任を問われる可能性があります。また、ゴミ屋敷が放置され、悪臭や害虫が発生し、近隣住民に迷惑をかけた場合、行政から指導や勧告を受けることもあります。最悪の場合、行政代執行により強制的にゴミが撤去され、その費用を請求されることもあります。相続放棄をした後のゴミ屋敷の管理義務を回避するためには、いくつかの方法が考えられます。まず、他の相続人に管理を引き継いでもらうことが考えられます。また、家庭裁判所に申し立てて、相続財産管理人を選任してもらうこともできます。さらに、ゴミ屋敷を売却または寄付するという方法もあります。そして、自治体に相談することも有効な手段です。これらの方法を検討し、適切な対応を取ることが重要です。相続放棄をしたからといって、ゴミ屋敷の問題から完全に解放されるわけではないことを理解し、管理義務の問題にしっかりと対処しましょう。