日本の断熱基準は、住宅の快適性と省エネルギー性を向上させるために、時代とともに変化してきました。ここでは、日本の断熱基準の歴史を振り返り、その変遷を詳しく解説します。日本の断熱基準が初めて制定されたのは、1980年のことです。当時の断熱基準は、非常に緩いものであり、断熱材の使用も義務付けられていませんでした。住宅の断熱性能は、ほとんど考慮されていなかったと言えるでしょう。しかし、その後、オイルショックや、地球温暖化問題への意識の高まりとともに、省エネルギーへの関心が高まりました。1992年には、「新省エネルギー基準」が制定され、断熱材の使用が義務付けられるようになりました。この基準では、断熱性能の目安として、地域の気候条件に合わせて、断熱材の厚さが規定されました。さらに、1999年には、「改正省エネルギー基準」が制定され、断熱性能の基準がより厳しくなりました。この基準では、断熱材の種類や、サッシの性能なども考慮されるようになりました。2008年には、「省エネルギー基準(平成21年基準)」が制定され、住宅全体の断熱性能を評価する指標として、「外皮平均熱貫流率(UA値)」が導入されました。この基準では、地域区分が細分化され、それぞれの地域に合った断熱性能が求められるようになりました。そして、2020年には、「改正省エネルギー基準」が施行され、断熱性能の基準がさらに厳しくなりました。この基準では、UA値だけでなく、「冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)」も評価の対象となり、日射遮蔽性能も重視されるようになりました。これらの変遷を経て、日本の断熱基準は、世界的に見ても、非常に高いレベルに達しています。今後も、さらなる省エネルギー化に向けて、断熱基準は強化されていくでしょう。