現在の日本の住宅における断熱基準は、国土交通省が定める「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」に基づいています。この法律では、地域区分とUA値、ηAC値の関係が明確に定められており、住宅の断熱性能を評価する際の重要な指標となっています。まず、「地域区分」とは、日本の気候条件を考慮して、全国を8つの地域に区分したものです。1地域から8地域まで、数字が大きくなるほど、寒冷な地域となります。地域区分によって、求められる断熱性能の基準値が異なります。例えば、寒冷な地域である1地域や2地域では、高い断熱性能が求められるため、UA値の基準値が低く設定されています。一方、温暖な地域である6地域や7地域では、比較的低い断熱性能でも良いため、UA値の基準値が高く設定されています。次に、「外皮平均熱貫流率(UA値)」とは、住宅の断熱性能を表す数値で、住宅全体の熱の逃げやすさを示すものです。UA値は、数値が小さいほど、断熱性能が高いことを意味します。例えば、UA値が0.87W/(㎡・K)の住宅は、UA値が1.2W/(㎡・K)の住宅よりも、断熱性能が高いと言えます。そして、「冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)」とは、住宅の日射遮蔽性能を表す数値で、夏場に住宅がどれだけ太陽の熱を遮ることができるかを示すものです。ηAC値は、数値が小さいほど、日射遮蔽性能が高いことを意味します。例えば、ηAC値が2.8の住宅は、ηAC値が3.0の住宅よりも、日射遮蔽性能が高いと言えます。これらの地域区分とUA値、ηAC値の関係を理解することで、ご自身の住む地域に合った断熱性能の住宅を選ぶことができます。また、これらの数値を参考に、住宅の断熱改修を行うことも有効です。