自治体でゴミ屋敷対策を担当する職員として、日々多くの困難な現場に直面していますが、補助金制度の導入は私たちにとっても非常に大きな転換点となりました。かつては、近隣住民から苦情があっても、私有地の問題であるとして強い介入が難しく、行政代執行という最終手段も予算や法的な壁が高くて容易には行使できませんでした。しかし、補助金というインセンティブを設けることで、所有者本人に自発的な片付けを促すことができるようになったのです。もちろん、税金を特定の個人の清掃に使うことへの批判がないわけではありませんが、害虫や火災の発生を防ぐための公益的な投資であるという認識を広める努力を続けています。現在の課題としては、補助金の存在がまだ十分に認知されていないことや、支給条件が厳しすぎて本当に困っている人に届かないケースがあることです。特に、所有者本人が「これはゴミではない」と言い張る場合、補助金の枠組みに乗せること自体が困難になります。そのため、私たちは心理カウンセラーや地域包括支援センターと密に連携し、説得ではなく寄り添うことで本人の意思を尊重しつつ、補助金の活用へと繋げています。今後、この制度がより多くの自治体に広がり、柔軟に運用されるようになることで、孤立死や地域のスラム化を防ぐ大きな防波堤になることを期待しています。私たちの使命は、ゴミを消すことではなく、その家に住む人の笑顔と安全を取り戻すことなのです。